Bloody's Tea Room
Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ

2018/02/18 15:32更新 

当ホームページは[Bloody]の完全なる自己満足の世界で成り立っております。
読者の皆さんも喫茶店感覚でお楽しみください

 

〜Story12〜

Head Light Tail Light

人々が家路に急ぐ夕暮れ時、晴れ渡る初夏の青空は徐々に西からその色を変えてゆく。
一日を惜しむかのように陽の光は赤みを増し、ブルーの世界からオレンジの世界へ。
そして一瞬の赤みはその色を漆黒へと染めてゆく。
何気ないその毎日の営みの中に、人々が生活するその空間は存在している。

彼は久しぶりの休日をゆっくりと自宅のシアターで映画鑑賞に浸っていた。
自宅の映画鑑賞用に備えてあるリラックスチェアは、彼の日頃の疲れを癒してくれた。
5年ぶりに見たフランスシネマはストレスを一気に放出し、彼を心地よい眠りへと導いていった。
つかの間の静粛な時間が経過し、彼はふと目覚めた。
午後のひとときは夕暮れ時へと変化し、時計の針は2時間を経過したことを伝えていた。
・・・・Long time・・・・
フランスシネマは何時のまにかエンディングを向かえ、シアターのブルーバックの画面が彼の顔を青く染めていた。

ふと、窓の外から彼の目に飛び込んできたのは、ブルーからオレンジへと変化する瞬間のパープルの空。
その微妙な色合いに彼はしばし言葉を失った。
・・・・A few minutes・・・・
我に帰った彼は、車のキーをつかんで一気に自宅を飛び出した。
この風景をもっと広いところで鑑賞したい。
それは非常に衝動的な行動だった。
エンジンをスタートさせ、ギアをローに叩き込むとサイドブレーキを開放する。
彼は目的地である広大な造成地へと向かった。
・・・・As soon as possible・・・・
しかし、目的地に向かうまでの間も、彼の目は空に釘づけだった。
そのドライブ中の空の変化は地上で最も美しいものに思えたから。
そして、時間の経過と自然の変化をまさにリアルタイムに鑑賞しているのだから。

広大な土地に車を止め、沈み行く夕陽を眺める。
すでに空はパープルからオレンジへ。
そして陽は西に沈み、徐々に闇が訪れてゆく。
・・・・One hour later・・・・
ふと気がつくとあたりは闇に包まれ、彼の周りには光のない世界が広がっていた。
広大な土地の真ん中で、彼は遠くに見える国道へ目を向けた。
闇の中で唯一見える光はヘッドライトとテールライトが織り成す光の帯。
それもまた美しい光景だと思う。
肌寒さを感じ、イグニッションを回した彼はFMラジオをONした。
スピーカーからは中島みゆきの「ヘッドライト、テールライト」が聞こえてきた。
彼は微笑むと再びギアをローにいれ、サイドブレーキを開放した。

♪ヘッドライト テールライト 愛はまだ終わらない♪

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