Bloody's Tea Room
Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ

2018/02/18 15:32更新 

当ホームページは[Bloody]の完全なる自己満足の世界で成り立っております。
読者の皆さんも喫茶店感覚でお楽しみください

 

〜Story14〜

Counseling

何か壁に突き当たった時、人は各々の手法でその壁を乗り越えようとする。
どうにもたまらなくなったときに行きたい場所がある。
どうしようもない時に相談したい人がいる。
そんな弱さを持っているから人生は楽しい。喜怒哀楽がない人生なんてつまらないじゃないか。

人生の悩みの中で、恋の悩みほど苦しく、切ないものはないであろう・・・。
人が人を好きになったとき、ストレートに「好きだ」と言ってうまく行くという話しを聞いたことはない。
大体は「恋の駆け引き」なるものが存在し、引き付けあう二人が惹かれあう。
男と女は磁石みたいなもの。惹かれる時は簡単だが、そこに行き着くまでは難しい。
難しいことを考えても仕方ない。当たって砕ける方法もあるさ。
いや、ちょっと待て。一方的なのはガキでも出来る。
そんなことを考えていると「恋の悩み」というものが出来てしまう。
「恋の悩み]ほど癒すのが大変な悩みはないのだよ。

人生大いに悩んだ方がいいが、悩んでばかりでは疲れてしまう。
それを癒す方法をいくつ持っているか?人はそれでバランスを保つ。
酒、タバコ、ドライブ、映画、読書、仕事・・・
でも、一番必要なのはカウンセラーではないだろうか?
「聞いてもらいたい」というのが人の本能。それを抑制することはバランスが崩れる元凶じゃないか。

彼は大いに悩んでいた。何をしても手に付かず、考えることは愛する人のことだけ・・・。
「カウンセラーが欲しい」
彼は切実にそう思った。人ではなくても良いから・・・。
彼は深夜、愛車を走らせた。深夜の都内は人通りも車の隊列もなく、目指す場所へとまっしぐらに彼は進む。
やがて東京タワーのイルミネーションが彼の眼前に現れ、彼はブレーキを踏んだ。
いつもと同じこの光景を見たとき、急速に心が落ち着いてゆくのを感じていた。
やがて彼は缶コーヒーを片手にタバコに火をつけた。
1本の缶コーヒーと1本のタバコ、そして東京タワーによって彼の心は確実にカウンセリングされていた。
「カウンセラーは人とは限らないのさ」
やがて0時を回り、東京タワーのイルミネーションが消える頃、彼はタワーに向かって言った。
「ありがとう。そしておやすみ」
 

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