Bloody's Tea Room
Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ

2018/02/18 15:32更新 

当ホームページは[Bloody]の完全なる自己満足の世界で成り立っております。
読者の皆さんも喫茶店感覚でお楽しみください

 

〜Story22〜

Silent Rain

雨の香りを感じたことありますか?
雨の朝、目覚めた時に外は暗く、目覚めの気分は決して爽快とはいえない。
むしろその気分は憂鬱でさえあるのがあたりまえだ。

雨の日はどことなく静かだ。
人々の声もどこかしたひそやかに、そして静けさの中に雨音だけが響く。
路面を蹴るタイヤの音も水音を交えてどこかしら物悲しい。

私はそんな雨の朝、散歩に出てみることにした。
なぜなら、その静けさが心地よかったから。
外に出てみると意外にも物音は大きいことに気がつく。降りしきる雨音、道行く車の音、人々の傘を叩く音。
どこかしら違うのはその空気の重さと香りだ。
外の空気に触れた途端、空気の比重は湿気を含んで重くなっていることが肌で感じられる。
そのひんやりとした重い空気は私の頭をすっきりさせるのに充分だ。
そしてその香りは、なんともいえぬ香り・・・・
そう、雨の香り意外に表現は見当たらない。世界中どこを探してもこの香りの香水は見当たらない。
アスファルトと人々の体温が存在する都会の雨の香りだ。

私は雨の香りを感じながら、街を一周した。
傘にあたる雨音と周囲の静けさがマッチして、心が穏やかになってゆく。
晴れの日には感じられない落ち着きがここにある。
私はふと思い立ち、駐車場へ向かった。雨の日に山の木々の香りをかぐのもいいじゃないか

都会から2時間、私はワインディングを楽しんだ。
雨でありながら窓は全開。吹き込む雨の香りが心地よい。
森の木々は冬に備えて葉を散らし、冷たい雨が身を引き締める。

前方に小さなバックフォグランプが見えた。
ペースを上げて追いつくと、1台のアルファロメオスパイダーが疾走していた。
後方からはウォータースクリーンが霧のように巻き上がり、バックフォグだけがその存在を主張している。
私のアルファロメオ155は、しばらくスパイダーとの雨の競演を果たし、お互いのレインダンスを楽しんだ。
やがて峠の頂上にたどり着いた私たちは、どちらからともなく車を降り、傘もささずに無言の挨拶を交わした。
周囲の静けさは、我々二人を包み込んだ。ただ、雨の音と香りを残して・・・・。

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