Bloody's Tea Room
Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ

2018/02/18 15:32更新 

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〜Story24〜

Winter Drive

一面の銀世界に覆われる冬は、植物も動物も全ての生物はひっそりとその厳しい冬が過ぎ去るのを待つ。必要なのは1年というサイクルの中のホリデー。皆が休息を求める時。
車を愛するものたちも自然の営みには勝てない。冬のシーズンはマシンたちも休息タイムに入る。
雪に閉ざされた外の世界はマシンの行動を束縛し、その万能力を奪う。

彼は静けさの中で目覚めた。日頃と何かが違う雰囲気。
しんと静まりかえった空気と、妙に重さを感じるこの香り。
外を行き交う人々の足音は聞こえず、車の音も打ち消された音のない空間。
彼はカーテンを開けた。そこに広がっているのは白一色の世界。
まるで自然が何色にでも染まることを待っているような、そんなメッセージを伝えているかのような世界。
また、その世界に音はない。強いてあげればしんしんと降り積もる雪の音。音のない音。

大抵の人々はこう思う。
なんてこった。今日は会社に行くのが大変だ。どうやって行動しよう。
・・・と

彼はふと思う。
自然がくれた休息日は休息するべきじゃないか?そんなに休息日に働きたいのかい?
そうさ、今日はホリデーにしよう。
ただし・・・一つ問題がある。マシンも休息させてあげたいが、一日一回エンジンをかけてあげないとこのお嬢さんはご機嫌斜めになる。かといってスノーロードを走らせるのは気が咎める。

雪と調和したマシンを見ていた彼はキーを取り出し、雪に埋もれたマシンに乗り込んだ。
ドアを閉めるとさらにしんとした雰囲気が彼を包む。外界の音はなにも聞こえない。
あえて言うなら[音のない音]
彼はエンジンをかけた。音のない世界にマシンの鼓動だけが響き、暖かい空気がエアコンから噴出す。

さて、お嬢さんのご機嫌はいかがかな?

暖気を終える頃、窓の雪は徐々に溶け出し、外の空間が視界に入る。
暖められた雪の塊が屋根から滑り落ち、周囲に雪の山を作り上げる。
これでは出発は不可能だよ。

彼は徐々に開けてゆく視界の中でこう思う。
雪に閉ざされた空間から、どんどん視界が広がってゆく様はまさに動いている!
と・・・

車は動くもの。でも場所を移動することがなくても乗っているものにとって視界が変わると言うのはまさに動いていることにならないか?
アイドリングは900rpmで一定し、氷点下の世界に熱を発散している。
「これぞ、冬のドライブ」
やがて彼はエンジンを切り、ドアを開けた。
暖まった室内に氷点下の空気が流れ込み、夢のドライブから現実に戻った。
ふと振り返ると、真っ白な世界に赤い車体がくっきりを姿を現し、真っ白な世界に色をつけていた。

・・・・・動かないドライブは冬の自然のメッセージに見事に答えた・・・・・
 

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