Bloody's Tea Room
Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ

2018/02/18 15:32更新 

当ホームページは[Bloody]の完全なる自己満足の世界で成り立っております。
読者の皆さんも喫茶店感覚でお楽しみください

 

〜Story32〜

Morning Freeway

早朝の高速道路を走行することは、まるで世の中に自分しか存在しないような錯覚を覚える。
まっすぐなアスファルトの路面にまぶしい陽光が照り返し、自分のいる空間が無限に、永遠に続いているように思えてしまう。
まるでそのまままっすぐどこまで走っても、この路面に終わりがなく、自分だけの世界が広がっているような・・・。あえて言うなら征服感か?

彼はこんな空間が大好きだ。そもそも都心の渋滞はとても走れない。
高速道路というからには思いっきり走らせてあげないと車だってかわいそうだ。
週末、土曜日午前5時、彼は早起きをしてエンジンをかける。金曜日までの仕事に忙殺される日々を払いのけ、自分に対してのスイッチを入れるために。
人間は器用ではない。誰だってそうだ。週末の休暇も、どこかで月曜日に始まる仕事のことを考えてしまう。考えてしまうのは何故か?考えてしまう時間があるからだ。時間が余っているという状態は、実は精神衛生上は良くないと彼は思う。
「のんびり過ごす」という言葉がある。
ところが人間はいつだってのんびりなどはしていない。本当にのんびり出来るのは、何も考えていない状態・・・すなわち「死」に他ならない。
しかし精神が安定している時、つまりは頭の中を空っぽに出来る時こそ人間は真にリラックスできるのではないだろうか?

朝、人の頭というものは起床して3時間ほどでフル回転を始めるという。
フル回転前の空っぽな脳みそで、思いっきり没頭できることをしてみる。
そのことこそが彼にとってのリラックス。まさにスイッチを切り替える絶好のタイミング。
土曜日のこの時間、彼にとっては貴重なメンタルヘルスケアタイム。
彼はお気に入りの車で高速道路に出かける。ステアリングを握っている時、彼の心は無になれる。
その高速道路の彼方には休日が待っている。その時間を貴重に使うために彼は心のスイッチを切り替える。仕事モードから休暇モードに。

午前8時、彼の頭もいよいよフル回転の時間を迎える。その時、頭の中を支配するのは「Enjoy」というたった一つの英単語。
そろそろ車の流れも多くなり、都心の渋滞が始まる。
彼は海岸沿いの出口ランプで高速を降り、臨海都心の真ん中にあるコーヒーショップ前に車を止めた。
ブラジルとコロンビアのブレンドコーヒーを注文した彼は、タバコに火をつけて深々と吸い込む。
陽射しはすでに高く、高層ビルに反射された陽光がオープンカフェに降り注ぐ。
コーヒーをゆっくりと飲み干し、2本目のタバコを吸い終える頃、彼の本当の休日は始まった。
Have a nice weekend!

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