Bloody's Tea Room Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ 2018/02/18 15:32更新
当ホームページは[Bloody]の完全なる自己満足の世界で成り立っております。 読者の皆さんも喫茶店感覚でお楽しみください。
〜Story1〜
See You Tomorrow
[友達以上、恋人未満、昔流行った言葉だ。どこかの車メーカーがCFで流していたっけな。] 彼はそう思いながら彼女の横顔を見つめていた。もちろん、彼の考えているのは彼女との関係のこと。[恋人]なんて死語かもしれないが、そんな言葉が出てくるというのは彼の気持ちの複雑さを象徴していた。 彼女との関係は悪くない。彼女だって彼のことをとても想ってくれているのは間違いない。但し、どうにもならない言葉で言えない壁があるのも事実だ。 お互いに惹かれあっているのに何でこんなに苦しいのか?なんで悩んでしまうのか?彼にはその答えがわからない。考えれば考えるほど堂々巡りになってしまう。 解決方法は簡単だ。もちろんこのままの関係を崩してしまえばよい。それは彼にとっても彼女にとっても不幸な結果になるかもしれない。でも中途半端な状態よりはずっと先に進むことができる。 彼女は気付いているのか?いないのか?それは彼にはわからない。自分自身の気持ちは自分が一番良く知っている。それをあえて聞こうとは思わない。答えは2人で一緒に見つけるものであって彼女だけが持っているわけではないのだから。 彼らは海辺でただただ景色を見つめていた。黙って夕陽が沈むのを見ていた。 夕焼けは唐突に彼らの前に姿を現す。夕陽は刻一刻と景色を闇へと変えてゆく。一日の中のたった一部の時間、たった15分ほどの赤い空。空が赤いというのはこの時間だけ。まさに彼らの会える時間を象徴しているかのように・・・。 彼はこう言った [また明日] 彼女はこう返す [そうね、また明日] 彼は再び彼女の横顔を見ようと振り向いた。振り向いた先の彼女は横顔ではなかった。 まっすぐに彼を見つめてこう言った [明日って言うのは誰に向かって言った言葉なの?] 彼は返事に困った。なぜなら建前と本音は違うから・・・。 [夕陽に向かって言ったんだよ。明日も晴れてくれればいいなあと思ってね」 これは建前。 本音はこうだ [君に向かって言ったんだ。だって君と明日会えるかどうかはわからないけど、今日という日はもう終わりじゃないか。だから『また明日会いたい』ということさ] 彼女は微笑んでこう言った [嘘つき] しばらく彼らは沈み行く夕陽を見つめていた。やがて日が沈み、闇があたりを包み込む頃、彼は彼女をまっすぐ見つめてこう言った [そうさ、僕は嘘つきだ。本音なんか言えない弱虫さ。でも本音を言ったら君が困るだろ」 彼女はちょっとうつむいてこう言った [そうね、私のほうが意地悪なのかもしれない。あなたのこと、振り回しているかも」 彼は彼女の瞳を覗き込んだ。 [って聞くのは僕の意地悪さ。本音を言おう。僕は君と明日も会いたい。明後日も会いたい。毎日会いたい。それが本音だよ。 彼女はゆっくりと瞳を彼に向けた。彼女の目はちょっと驚いていた。 [それだけなの?私は『また明日』なんて言って欲しくない。『ずっと一緒にいたい。今日も一緒にいたい』と言って欲しいわよ] 人の心はいつでもすれ違い。 すれ違いの中に大きな未来が隠されている。 扉を開けるのは自分。 扉を開けないのも自分。 全ては自分の勇気と自分の気持ち。 誰のせいでもない。 気がつかないことの多い人生。 しっかりと自分を見つめよう。 自分に正直に生きよう。 また、明日も
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