Bloody's Tea Room
Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ

2018/02/18 15:32更新 

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読者の皆さんも喫茶店感覚でお楽しみください

 

〜Story8〜

Natural

いつの間にか横にいる人がいる。
出会うこと、再び出会うこと、全てがまるで筋書きがあるようにことが運ぶこともある。
実はそんな出来事の一つ一つが、実は自然のいたずらだったりすることもある。

彼と彼女、どことなく今日はぎこちなかった。
どちらのせいというでもなく、お互いにちょっとした思いやりのない行動をとり、なんとなく謝りにくいままに時間が過ぎていった。
そんな時、実は一緒に過ごす時間はとても長く感じられたりする。いつもならば時間の経過を忘れるほど楽しいひと時を過ごす二人が、今日だけは妙に堅苦しい。
意地っ張り、困ったり・・・。
別に喧嘩をしているわけではないのに、妙にお互いに気を使っている二人。肩を並べて黙々と歩いているカップルは異様だ。
[まるで小学生のようだな]
彼は頭の中でつぶやいていた。なんとなくその考えがおかしくなって、ふと微笑を漏らした。
彼女はその瞬間を見逃さなかった。
[何考えているの?]
鋭いとはこういうことだ。
[いやね、なんだか俺たち意地っ張りで、二人とも小学生みたいだなと思っていたら、自分の小学生時代を思い出してしまったよ。そうしたら妙におかしくなってきて]
彼はすでに笑いをこらえきれずに、大笑いをしながら彼女に答えた。
[だってさ、『あの子は意地悪したからもう話してあげない』とか言ったりしてただろ?子供の頃]
彼女はしばらく大笑いする彼を睨みつけていた。
彼はちょっと真顔になって
[ごめんごめん、また怒らせちゃったかな?]
と謝った。
彼女はしばらく彼を見つめていたが、やがて思いっきり吹き出して大笑いを始めた。
彼は何がなんだかわからずにあっけに取られて大笑いする彼女を呆れて見ていた。
やがて彼女はひとしきり笑い終えると涙を拭きながらこう言った。
[だって・・・おんなじこと考えていたんだもん]
お互いに顔を見合わせていた彼らは、再び吹き出して大笑いした。
・・・・・似たもの同士ってことだな・・・・・

いつの間にか二人は芝公園にたどり着いていた。
すでにあたりは暗く、東京タワーのイルミネーションがあたりを照らし出していた。
彼らにとってここは思い出の場所。ギクシャクしながら黙々と歩いてきた結果がここにたどり着くと言うのもおかしなものだ。
[結局俺たち、自然に生きると一緒にいると言うことになるんだよ]
[しかも、お互いに心癒される場所に自然と出向くし]
[なんか勝手に波長が合っちゃうんだよな]
[ま、お互いこれからも空気みたいな存在ってことで]
[よろしくお願いしますか!]
再び顔を見合わせた彼らはひとしきり笑った。
お互いの笑顔がいつまでも見られることを二人とも感じながら。

自然体と言う言葉がある。
肩肘張っていくらがんばっても成し遂げられないこともある。
自分を作り続けると必ずぼろが出る。
何でも言い合える。
時には喧嘩する。
そして慰めあい、笑いあう。
お互いに空気のような存在。
あることが当然で、なくては困る。
そんな関係、それが自然体。
そしてお互いの共通の心の癒しアイテムをいくつ持っているかで二人の世界は広がる。
心の癒しアイテムが心を癒すのではなく、お互いが癒しあうきっかけと言うことは意外と気がつかない。
自然体で相手と接する。そんな毎日が幸せと言うのではないだろうか?

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