Bloody's Tea Room
Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ

2018/02/18 15:32更新 

当ホームページは[Bloody]の完全なる自己満足の世界で成り立っております。
読者の皆さんも喫茶店感覚でお楽しみください

 

〜Story11〜

Relax Time

恋人同士というのは、会うときには[何をしよう]と考える傾向にある。
もちろん限られた時間の中で好きなもの同士が時間を作って会うのだから、当然その時間を有効活用しようとするわけだ。
実はお互いにあっていることだけで充実しているわけで、そんなに[何かをしなければ]と考えなくてもいいはず。
意外とそのことに気がつかず、やるべきことが見当たらないと焦ってみたりする。
そんな二人がここにもいる。

待ち合わせの場所で彼女をピックアップした彼はこう言った。
[今日は何しようか?実はあまり考えてないんだよ。映画はこの前見たしね]
彼女はちょっと考え込むような顔をして黙っていた。
[とりあえず腹ごしらえからだ。食事をしに行こう]
彼が提案し、二人は近くのレストランへ向かった。

レストランに向かう途中で大きなショッピングセンターを見つけた彼女は提案した。
[ね、食事の前にちょっとショッピングセンター寄ってみない?]
今日のスケジュールを考えていなかった彼は、正直言ってこの提案に飛びついた。
[うん。何か欲しいものでもあるの?]
[別にそういうわけではないんだけど、まだおなか空いていないし、寄り道もいいかな?と思って]
[OK!じゃあちょっと寄り道してみよう]

彼らが入ったショッピングセンターは、日常生活用品を豊富に取り揃えたマーケットだった。
雑貨から食材、書籍、家具まで揃っている店内は見飽きることがない。
日ごろ二人で回るのはファッションビルくらいのものだった彼らにとっては初体験の空間だった。
[なんかさ、来てみると結構面白いね]
[そうね、雑貨とか食材なんかいくら見ていても見飽きない]
[でもさ、こんなに沢山の食材があると腹減ってきちゃうね]
彼女はパン!と手を叩いてこう提案した。
[ここで食材買って作って食べようか?]
彼ももちろん賛成した。
[いいね、ついでに豪華にワインでも買って帰ろう]
一人暮らしの彼の部屋にはもちろん調味料なんてものはない。
彼らはメニューを考えながら食材選びに1時間を費やし、文字通り隅々まで探し回って買い込んだ。
[なんか腹減って我慢できなくなってきた]
車に戻った彼は彼女に向かってこう言った。
[ワインで乾杯から始めたかったけど、そんな事言ってられない。手分けして早く作ろう]

彼の部屋に到着した二人は、手分けしててきぱきと食事の準備を整えた。
食事の用意に30分、食べるのに30分、あっという間に食事を終えた彼らは、食器の片づけを終えてようやく一息ついた。
すでに会ってから3時間が経過している。
[ふぅ〜。なんだか充実した時間だったなあ。あっという間に3時間経っちゃった]
[そうね。いつもは外食だから食べることだけしか時間を費やさないもんね]
[でも、楽しかったなあ]
彼はニヤリと笑って再びキッチンに立った。そして戻ってきた彼の手にはワインとワイングラスが持たれていた。
[食後のリラクゼーションタイムですよ、姫]
彼女は微笑んで彼の手元を見ていた。
コルク栓が抜かれ、赤い液体が満たされ、そして二人は乾杯した。
[充実のひとときに乾杯]
二人とも今日の思いつきに満足し、最後のリラクゼーションタイムの余韻に浸っていた。
やがて軽く酔いの回った彼女は、彼の肩にもたれかかってこう言った。
[何もすることがなくたって、二人で居れば楽しいのよ]
彼は黙って彼女の肩を抱いた

一番大切なのは時間を共有すること
何もしなくても二人の心は満たされる
そして素晴らしいアイデアが浮かぶに違いない
言葉はいらない
計画もいらない
思いつきが何であれ、楽しむことは出来るはず
求めているのは事象ではない
多分リラックスできる相手との空間
そんなひとときが持てること
それが人の幸せだと思う

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