Bloody's Tea Room Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ 2018/02/18 15:32更新
当ホームページは[Bloody]の完全なる自己満足の世界で成り立っております。 読者の皆さんも喫茶店感覚でお楽しみください。
〜Story16〜
With The Wind
いろいろなことを考えながら人は生きる。 考えることをやめたら人は人ではなく、単なる霊長類ヒト科の生物になる。 ところが[考える]をいうことが人の行動を制限し、人の成長を妨げていることも実際には多い。 特に悩みにぶつかった人ほど、その成長を止めるネガティブな思考が働いてしまう。 そんな時、他人から得られるちょっとしたヒントは、その人の心をポジティブに変えてくれるから不思議だ。 それがもしかしたら友情、愛情の始まりなのかもしれない。 どんよりと曇ったある日、彼女は埠頭に立って水面をずっと見ていた。 彼女は仕事に対する自分の姿勢について、水面の小波を見ながらずっと考えていた。 自分は仕事に対して忠実であったか?自分は仕事で甘えていないか? ベテランになってからも自分は奢ることなく前向きに成長してきたか? その答えは見つからない。なぜならその答えは自分で導き出すものだから。 自分で自分を褒めることによって得られる満足であるから。 やがて、背後に気配を感じた彼女はふと振り返った。 この日、この場所で待ち合わせていた彼がそこに微笑んで立っていた。 [早かったね。ちょっと待たせちゃったかな?] 彼はいつも時間よりも10分は早めにやってくる。 この日も彼は約束の時間の10分前に現れた。 [ちょっと早めに着いてしまったので水面を見ながらぼうっとしていたの] 彼女は微笑んでそう答えた。 [いつもはあなたを待たせているのにね] 彼らは岸壁に腰をかけて、今日の行動、ランチで食べたもの、エピソードなど、他愛もない話を続けた。 やがて彼女は彼にこう尋ねた。 [なぜ、あなたはいつも約束の10分前に来られるの?私は遅れたりすることがあるけど。それは仕事が遅くなったりして、決してあなたを待たせようとしているわけではないのだけど、あなたは絶対に遅刻しない。それはなぜ?] 彼はちょっと首をかしげて視線を外して考えた。そしてボソッと一言こう答えた。 [それは、君に会うことが何よりも僕の気持ちの中で優先されるからではないかな?] 彼女は前から思っていた疑問を一気に吐き出した。 [でも、それって私との約束があれば仕事も投げ出してくるって事でしょう?そんなの私は好きではないな。仕事ってとても大事なことよ] 彼はうんうんとうなづきながらこう答えた。 [もちろん仕事は大事、友人との約束も大事。でも、そういう時間のやりくりってのは、自分の動き方一つで出来てしまうはずだよ。時間をマネージメントするとか、そういうかっこいい言葉もあるけど、僕は単純にやることの順番を決めているだけ] [それって、何かを犠牲にすることにならない?] [じゃあ、突然の仕事が舞い込んだとする。今日のうちに片をつける仕事はなんとしても今日のうちに済ませて君に会おうとする。もし、片がつかない場合は誰かに頼んだとしても、全面的に頼むのではなくてやりやすいようにして頼む。引き受けてくれないとすれば、日ごろの僕の行いが悪いだけ。その時は君に会うのをあきらめる] [そんな、自分のプライベートのために人に仕事を頼むなんて・・・] [もちろんお互い様っていうこともある。僕も人が苦しいときには手を差し伸べる。いずれにしてもやるべきことさえきちんとしていれば、信頼関係が助けになってくれる] 彼女は彼の言葉で考えてしまった。 [私は『自分がやらなければ』という気持ちが強くって、全部自分の仕事はやりきろうとしている。それでいて壁に当たって悩んでいる。あなたはなんでそんなにドライになれるの?] [ドライではない。もちろん熱くなったりもする。でも、一人で仕事しているわけじゃないんだ。必ず誰かとの共同作業になる。その流れなんか信頼したり、信頼されたり、頼ったり、頼られたりして生まれるものなんだ] [もっと周囲を頼れって言うこと?] [そうとも言うけど、どちらかというと周囲の流れを作るって言う感じかな] その時、彼らの前を1羽のカモメがゆっくりと横切った。 [あのカモメみたいに風に乗ってっていうか、風を味方につけて仕事するって言うか・・・うまく表現できないけど] それまで難しい顔で考えていた彼女は、にっこり笑うと彼に向かってこういった。 [それってすごくキザな台詞!でも、なんとなく気持ちが軽くなったかも] 彼はちょっと照れくさそうに笑うと、彼女の手をとって立ち上がった。 [さて、ではディナーでも楽しみましょうか?風の吹くまま気の向くまま] 人生は一度きり ギスギス生きても仕方ない 仕事は真剣にやり、遊びも真剣にこなす 時間がなければ作ればいい 作るためにはいつでも周りを味方につけよう 自分の力だけで進むより、風を味方につけたほうがいい 風に乗って進めば、自分の力よりもはるかに速いはず 風が流れると書いて[風流]という 昔の人が言うように、[風流]な人は風を味方につけているものだ いつまでも「風流」な心を忘れないものは 必ず心のゆとりを持っているはずだ
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