Bloody's Tea Room Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ 2018/02/18 15:32更新
当ホームページは[Bloody]の完全なる自己満足の世界で成り立っております。 読者の皆さんも喫茶店感覚でお楽しみください。
〜Story17〜
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一人でいたいときもある。孤独を楽しみたいときもある。 でも、一人でいることを永遠にしてはいけない。 誰かとの接点があることで、人は頑張ることができるのだから。 ふとした出来事で人の大切さを知る。 そういうことってありませんか? よく晴れた秋空に誘われて彼は車を走らせた。 特に当てもなく、特に行きたいところもなく、そして目的があるわけでもなかった。 ただ、一人で車を走らせることで、日常生活のいやなことや雑然とした邪念を払いたかった。 [そういう時は一人がいい」 彼はそう思い、そして一人で行動した。 要は精神的に疲れているだけかもしれない。 ただ単に日常のわずらわしいことから開放されたかっただけかもしれない。 そして誰ともコンタクトしないことで逃げているだけなのかもしれない。 車を走らせながら、彼はぼんやりとこんなことを考えていた。 [結局いろいろ考えちゃってるな] 彼は日常から逃げ出したのに日常を考えている自分に対して苦笑した。 [ま、逃げることは出来ないってことだな] そう考えると、彼は急に気が楽になってきた。 気分が軽くなった来ると同時に右足に力が入り、ステアリングを握りなおした。 やがて高原の道路から峠に入り、山頂まで来たときに彼はあたりが赤く染まってきたことに気がついた。 山頂の湖は秋の気配が濃厚に漂い、夕日がその湖面を赤く照らし出していた。 一日の終わりを告げるその光景は、彼にひとときの休息をもたらした。 思考が無になる時間・・・ そういう時間を彼は望んでいたのかもしれない。 そういう時間は自分で作り上げることは出来ず、何かのきっかけがあって初めて成立するものだ。 がむしゃらに一人になろうとしても、日常を断ち切ろうとしても一人では結局できない。 何かが介在して、何かがきっかけとなって、リラックスした時間は生まれるものだと彼は思った。 突然、沈み行く夕日をただ見ていた彼のジーンズが震えた。 彼はジーンズから携帯電話を取り出すと、発信者の名前を確認して通話ボタンを押した。 [こんにちは。何をしていたの?] 彼女の声は屈託なく彼の耳に響いた。 [ちょっとドライブしたくなって山頂の湖に来ているよ。夕日がすごくきれいだ] [ふーーん。一人でたそがれているってわけ?] [そんなところかな。君は何をしているの?] [おなかが空いたから夕食でも一緒にと思ったのだけど、一人でたそがれているんじゃね〜] 彼はちょっと呼吸を置いてこう答えた。 [一人の時間はもういいや。なんだか誰かと話をしたくなってきた] [でも、湖にいるんでしょ] [これから全力で峠を下って帰るよ。それまで腹を空かせて待っていてくれ] [待ちきれなくて一人で食べちゃうかもよ] 二人は一瞬の間のあとで吹き出した。 [ありがとう。電話をもらったことでなんか心が軽くなった] 彼は彼女にそう告げると電話を切り、エンジンをかけてアクセルを踏み込んだ。 孤独の時間も重要だ 一人で何かを考えることもいい ただ、一人で考えることはネガティブなサイクルに入りがちだ どんどん深みにはまることだってある そんな時には周りを見てみよう 自分の思考を他のものに向けてみよう 何かのきっかけで考え方も変わるはず そして前向きに考えられることだってある ちょっとでも気分を変えたければ誰かに会おう そういう毎日を送ることで、人は成長するのだから
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