Bloody's Tea Room Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ 2018/02/18 15:32更新
当ホームページは[Bloody]の完全なる自己満足の世界で成り立っております。 読者の皆さんも喫茶店感覚でお楽しみください。
〜Story19〜
Puzzle
人生はいろいろな人との出会いと別れで作られてゆく。 その誰もが、人生にとって必要な人物であったのだと思いたい。 であった人々それぞれがその人の人格に影響し、その人そのものが作られてゆく。 出会ったその時からぴったりと心が一致することはないはず。 出会うことでお互いを磨き、心が一致するときに一番大切な人と言えるのではないだろうか? 彼と彼女は行きつけのバーのカウンターで出会いについて語っていた。 出会いについて語ると言うことは別れについても語ることになる。 相反する二つの事象は複雑に絡み合っている。 そして彼らはお互い気持ちをぶつけ合っていた。 彼は人の心をこう例えた [人生はパズルみたいなものだよ。そして出会う人たちはその1ピース。それぞれが心の中に納まり合って自分の人格に影響しているのだと思う] 彼女はシビアだった [パズルならば必ず全ピースがぴったりと納まって人生が終わると言うことになるわね] 彼は否定しなかった。 [そうさ。おそらく最後の1ピースが納まって人生が完結する] [でも、みんなパズルを完成させて人生を終えるのかしら?私はそうは思わないな。出会って残る1ピースならば人生の最後まで影響すると思うけど、形が合わなくって人生に残らない1ピースもあるんじゃないかな?] 彼はちょっと考えてこう答えた。 [おそらくね、人生のパズルピースは可変なんだと思うよ] 彼女は怪訝な顔をしていた [可変?] [そう。固定された形で現れた1ピースは決してその人の心には残らない。なぜなら出会うことでお互いに刺激されてその人の人生観や価値観は微妙に変化すると思うから。初めから頑固に全然変化のない人、変わることが出来ない人が現れても、その人は相手に合わせることが出来ないから、心には残りにくいんじゃないかな] [つまり、はまるべくしてはまるんではなくて、お互いが歩み寄って形を変えてぴったり一致するときに初めて1ピースが心に残るわけね!] [そう。だって初めから趣味や性格がぴったり一致するようなことって少ないでしょ。でも気が合うということはあるかもしれない。例えればそれはパズルの空いた空間と1ピースの形が似ていて、ちょっと形を変えれば一致するというくらいなんじゃないかな] [恋愛はその最たるものね] [うん。恋愛と言う小さなパズルが心の中にあって、1ピースだけが納まるようになっている。そこに近い形を持った人と出会えば、お互いにその形をちょっとだけ変えてぴったりと一致させることが出来る。それを努力と言うんじゃないかな。] [形が大きく違えば努力もたくさんしなければならないわけね] [少なくとも僕はそういうふうに思っているよ] [じゃあ、私と貴方はどうかしら・・] 唐突に彼女は彼を見つめてこう言った [私の心の空間に、貴方はぴったり納まるのかしら] 彼は涼しい顔をしてこう答えた。 [もう、納まっているんじゃないかな?もしかして最初からほとんど形を変えずにね] [全く自信過剰!] 二人はお互いの顔を見つめ合って、やがて吹き出した。 心の中にぽっかりと穴が開くことって感じませんか? そういうときに穴を埋めてくれるのは多分大切な人 その大切な人がいつも心の穴の形を見てくれて、 その形に合わせて支えてくれること それが愛情と言うものではないだろうか? 最初からぴったり一致することが大切なのではなく 一致させるようにお互いが歩み寄ることが一番大切 そういうことを自然にできる二人なら 人生の最後の1ピースまで見届けることが出来るのかもしれない
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