Bloody's Tea Room
Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ

2018/02/18 15:32更新 

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〜Story9〜

General Manager

私、上野は課長である。ということは会社組織の上では部長なる人が私の上司として君臨している。私の上司、品質管理部長の名前は新宿と書いて「あらじゅく」と読む。私とは一回り違い。部下の高田さんと馬場さんと同じ歳になる。普段は基本的に何もしない人だ。いわば昔ながらの「管理職」のイメージを地で行っている。しかし社内での発言力は絶対だし、それでいて若い社員にも人気が高い。おそらくそのフレンドリーな立ち振る舞いと、敵を作らない温厚な性格がプラスに作用しているのだろう。
従って大抵の仕事は部長を絡めずに課長連中が切り盛りすることになる。しかし、大口顧客で大きなトラブルが発生した場合などは新宿部長のお出ましとなるわけだ。

その日、新宿部長と私はX社の会議室にいた。X社のメンバーは5名。全員が部長クラスだ。品質管理部長と課長が揃って雁首を並べているということは・・・それなりに大きなトラブルが発生したからで・・・
「ということで、本件に関しては弊社の開発時の品質展開計画に問題があったからだと考えています。」
私はこの言葉で報告を締めくくった。会議が始まってから30分が経過している。説明は30分、質疑応答が30分というのがX社の基本会議時間だ。
「では上野さん、品質展開計画の中でも何が不足していたと考えますか?」
早速質疑応答の砲撃が始まった。これを私は曳光弾と呼んでいる。この後主砲の砲撃が始まるのだ。
「はい。やはり責任者の舵取りがうまくいっていなかったのではないか?と。プロジェクトリーダーがあいまいで、多数の部門をまとめる大規模プロジェクトを部分最適で行っていたのが原因だと考えます。」
「では、そうやって今後は立て直すおつもりですか?」
フッフッフッ!まさに質問して欲しいところに来たぞ〜。そこで起死回生の一発!
「今までは組織横断的に判断するリーダーを設置していませんでした。組織的にそれを設置し、品質管理部長直轄で判断してゆくようにすれば、間違いのない判断が行われると考えます。」
決まったぞ〜!これであとは部長が「俺がやる」と言ってくれればOKだ。
「新宿部長、この組織的な対応に関しては御社内での決定は出ているのですか?」
「はい。取締役会でも承認されております。既にリーダーの人選も行われています。」
いいぞ、部長!打ち合わせ通り!X社の面々もほほえみを浮かべてる〜
「なるほど。ではこの組織変更と新しいプロジェクト運営に関しては新宿部長が陣頭指揮を取られるのですね?」
そうそう、そこで「はい」って言えば終わりですよ〜、部長!
「いいえ!」
ん?今なんて言った?あれ?X社の人たちの顔がこわばってる。
「では、誰が?」
そりゃそうだよね〜。当然の質問だよね〜。私が聞きたいくらいだ。
「こいつです!」
こいつ?この場でこいつって言われるのって・・・私しかいないよなあ・・・。
「実際の運営は全てこの上野が行います。この計画も全て上野が考えました。」
あの〜、部長、前打ち合わせと違いますけど・・・。多分、私に花を持たせようとしているのだとは思いますが・・・
「ならばあなたは何をするのですか?」
私もそれが聞きたい。
「全面的にバックアップします!」
自信満々に宣言した部長に対して、X社の面々は顔を見合わせてこう言った。
「御社は腐りきっていますね。部門長が自分で責任を取るって言えないとは・・・。」
これを聞いた部長は真面目な顔でこう答えた。
「腐ってはいますが、腐りきってはいないと思います!」
・・・穴があったら入りたい・・・

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