Bloody's Tea Room
Team SPIRITS Web Master 「Bloody]の趣味の世界へようこそ

2018/02/18 15:32更新 

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〜Story2〜

2人分の贈りもの

友人から贈りものが届いた。有名なインテリアショップの包装紙を開けてみると、珍しい形をしたエスプレッソサイフォンが姿を現した。説明書はイタリア語。もちろんさっぱりわからない。僕がコーヒー好きなのをよく知っている友人からのプレゼントだ。メッセージカードには「美味いコーヒーでも飲んでくれ」とある。
幸いにも説明書には図解が描いてあったので早速試してみることにしよう。スクリューを回して上下を分離し、挽き豆を入れるパーツを外し、下のタンクに水を入れる。指定の量の水を入れ、挽き豆をスプーン1杯分セットする。あとは上のパーツをスクリューを回して再び合体させ、ガスコンロにかけるだけだ。
5分ほどすると下のタンクから沸騰したお湯が吸い出され、挽き豆を伝って上のタンクにコーヒーが出来上がる仕組みだ。コーヒー専門店のサイホンとほぼ同じメカニズムながら、なかなか合理的にできている。
出来上がったコーヒーをデミカップに注いで飲んでみる。コーヒーメーカーで作るよりも、香りがいいようだ。但しコーヒーと言うには少し濃く、エスプレッソと言うには薄い。やはりこのサイフォンはエスプレッソメーカーとして使うのが最も良いと僕は思った。

翌日は挽き豆の量を1.5倍に増やしてみた。今度はエスプレッソとして充分な濃さと香りを味わうことができる。デミカップも小さめのものを用意した。エスプレッソは一口づつ味わいながら飲むのがいい。一口含んで口の中で転がす。すると苦味が口全体に広がり、香りが体内から鼻へと伝わってゆく。
1杯目のエスプレッソを飲み終えた僕は、2杯目を注いだ。小さなデミカップではこのサイフォンの容量からすると2杯分になる。
残念なことに2杯目のエスプレッソは1杯目ほどおいしく感じなかった。適温をはるかに下回った温度と、1杯目で慣れてしまった
味わいは2杯目には通用しないようだ。つまりこのエスプレッソサイフォンは1杯で飲みきってしまうのが最もおいしいということになる。しかしエスプレッソ用のデミカップでは2杯分
ここで僕はこのエスプレッソサイフォンを贈ってくれた友人の真意を見逃すところだったことに初めて気が付いた。そう、この贈りものは「2人分」だということ。
僕は友人の顔を思い浮かべながら苦笑した。早くパートナーを見つけろって言うことかい?

後日、僕はインテリアショップでお気に入りのエスプレッソカップを見つけた。益子焼と言う製法で作られた和風のエスプレッソカップだ。2客セットのそのカップを見つけた時、あのエスプレッソサイフォンが頭に浮かんだ。その場で衝動買いし、持ち帰ってすぐにエスプレッソを入れてみた。
益子焼は時間が経っても十分に温度を保ち、味わいを逃がさない。このカップはこのサイフォンとセットで使おうと僕は決めた。但し、2客目のカップを使う人はまだいない。

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